コロニーな生活☆PLUS(コロプラ)、ケータイ国盗り合戦、しろつく、foursquare、ロケタッチ。それぞれの位置情報サービスについて、知っている人は知っているし、知らない人は全然知らない。
それというのも、それぞれガラケー文化圏、PC・スマホ文化圏のサービスとはっきり分かれているから。僕も、foursquare、ロケタッチは知っているけど、コロニーな生活☆PLUS(コロプラ)、ケータイ国盗り合戦、しろつくについては、テレビや雑誌でチラッと見たことがあるだけにすぎない。
しかし、本書を読むとその異常な盛り上がりぶりがわかります。
位置情報と携帯電話・モバイル機器を組み合わせたサービスの歴史は携帯にGPSがついた頃からありました。しかし、近年の盛り上がりを見せる位置情報サービスの特徴は観光や地方の小売店、伝統工芸品など、いわゆるリアルビジネスと融合していることにあります。
山梨の伝統工芸品のお店では、コロプラと提携することにより、売り上げが5倍に増えましたし、中にはJR九州とのタイアップで5カ月で6万7千人も動員したような大規模な提携もあります。
携帯のゲームで課金といえば、無料ユーザーより優位にゲームを進めるためのアイテムなどを購入するのが主流です。僕もゲームが好きでそれ自体を否定することはないですが、不毛といえば不毛ですよね。自戒をこめて。
しかし、この位置情報系のゲームでは実際に人が移動したり、現地でモノを購入することにより、サービス運用者以外の地方の企業も潤うことになります。ユーザーも家の中にいて、マウスや携帯のキーをポチポチやっているよりは健全でしょう。 画面の中で完結するより、移動した方が思い出や出会も増えるんじゃないかな。
新書らしく、まったく予備知識がない人でもそれぞれのサービスの仕組みがわかりますし、タイトルに「ビジネス」と銘打ってるだけあって、利用方法や仕組みのみならず、きちんとキャッシュポイントやビジネスモデルについても詳しく解説してあります。
僕のように、普段ほとんど通話のみにしか携帯電話を使わない人にとっては、「こんなことで世の中は盛り上がっていたのか!」とびっくりすることと思います。
本書によると、その市場規模に比べ注目度は驚くほど低いとのことですので、参入するなら狙い目かもですねー。
位置情報ビジネス ~「位置ゲー」が火をつけた新しいマーケット~ (マイコミ新書) 佐野 正弘 (著)
出版社: 毎日コミュニケーションズ (2011/5/24)
「位置ゲー」「ジオメディア」などと呼ばれる新しいモバイル・コンテンツ、モバイル・サービス。
本書では、携帯電話やスマートフォン、GPS機能による位置情報、そしてインターネットの組み合わせによって誕生したコンテンツと、そのビジネスについて解説します。観光産業からは“期待の星”として、インターネット業界からは“ソーシャルの次”として注目を集める、位置情報ビジネス。
その広まりがいま、何をもたらそうとしているのか、本書を通して理解しましょう。