80対20の法則を覆す ロングテールの法則


「ロングテール」「ロングテール現象」「ロングテールの法則」は2004年の暮れくらいから、日本でもネット上で話題になってたのでご存知の方も多いかと思います。

参考:
Wired 12.10: The Long Tail
ネット世界で利益を稼ぐ「ロングテール現象」とは何か:web kikaku
ロングテール - Wikipedia
ロングテール理論 - @IT情報マネジメント用語事典


単純に言えば、従来「80対20の法則」と言われていた
・20%の顧客が80%の利益を生み出す
・20%の商品が売り上げの80%を占める

こういう法則が、Amazonの売り上げや検索エンジンの検索数では
・販売数や検索数の順位の下位のものが大きな割合を占める
という事になっています。

これをグラフに表すと長い尻尾がえんえんと続くように見えるため「ロングテール現象」と言われます。
(詳しくは上のリンクを参照してみてください。)
もちろん今日紹介する80対20の法則を覆す ロングテールの法則でも詳しく解説されています。

私も興味があったので、2005年の7月に自分のAmazonアソシエイトの売り上げをもとにちょっと統計を取ってみたこともありました。
[俺100]:このブログで4,5,6月に人気があった本とロングテール現象
結果は1冊しか売れない本がかなりの部分を占め「実際の店舗だったらこれはきついだろうな」との印象を持ったのを覚えています。


さて、本書はその「ロングテールの法則」を解説した本です。
買う前は「ロングテールのことをさらっと書いた本かなぁ」と思っていたら、嬉しい誤算でロングテールの解説は第一章で済ませています。

そして、第2章以降は「ロングテールはわかった、で!これからどうすればいいの?」という疑問に応えています。

ネット以外でのロングテールの活用法やロングテールを利用した売れる仕組みづくりなど、著者の経験に基づいた実戦的なマーケティングのノウハウを学ぶことができます。

現場を知ってる人独特の凄みが感じられました。

読んでて、ネットのマーケティングの基礎的な知識がないとキツイな、と思う部分もありましたが、その分冗長な感じはなくて中身が濃い内容になっています。

書いてる人も楽しそうな感じです。ノリノリな感じ。

と、思ったらあとがきにも「書いてる間は実に楽しかった」というような趣旨のことが書いてありました。
そして楽しかった理由として

「文章の書き方」「アイディアの出し方」を事前に勉強してそのルールにのっとって進めたからです。

毎日ブログで文章を書いてる身としては、そちらの方も気になります。

次回作ではぜひそのノウハウも!

著者の菅谷義博氏のブログ
ロングテールの法則


さて、ここからはこの本には直接関係無い話。
気になるついでに言えば「80対20の法則」「パレートの法則」の話の説明によく出てくるミツバチの話がこの本にも出てきます。

みつばちが、よく働く20%、普通60%、あまり働かない20%に分類されると言う話ですね。
そして、よく働く20%を取り除いても、またこの20:60:20に別れるという話。

サラリーマンの組織のマネジメント話の時にも、たまにこの事例が出てきますね。


以前、「この話の由来、実験者がだれか?」という事がどこかで話題になって、私も調べたのですが原典までたどり着けなかった記憶があります。

*「○○といわれます」「~という話があります」と出典を明記してないことが多い

この本にもこの話題が出てきたので、またこの話の謎を思い出したのでした。
誰か原典を知ってる方がいたら教えてくださると非常に嬉しいです。


80対20の法則を覆す ロングテールの法則
80対20の法則を覆す ロングテールの法則
菅谷 義博 (著)

ネット業界で話題の「ロングテール現象」を解説した本邦初の本。「顧客を切り捨てる」マーケティングから「全ての顧客を対象にする」マーケティングへの変貌を克明な取材で紹介する。

ロングテールの法則とは、従来のマーケティング常識の「80対20の法則」(売上の8割は2割の優良顧客が生み出す)を覆す現象のことだ。ブロードバンド時代には、「売れない8割」すなわち「ロングテール(長い尾)」が、「売れる2割」を超える売上をもたらす。本書では、この法則を応用した、目からウロコのマーケティング戦略を解説する。


第1章 ロングテールの法則(80対20の法則
「売上の80%は、顧客の20%が生み出す」 ほか)
第2章 ロングテール戦略(絞り込まないマーケティング
「ポテトはいかがですか?」の効果を知る仕組み ほか)
第3章 戦術レベルでのロングテール(「売れる仕組み」を自動化する
SEOとSEMの違い ほか)
第4章 ロングテールを体現する企業たち(アイクレオ メールマガジン「アイシュア」
グーグル 検索連動広告「アドワーズ」 ほか)