頭のいい段取りの技術 藤沢 晃治 (著)

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「『分かりやすい~』の技術」シリーズの藤沢晃治さんが教える段取りの技術

【参考】
「分かりやすい文章」の技術 (ブルーバックス)
「分かりやすい説明」の技術 最強のプレゼンテーション15のルール ブルーバックス
「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール (ブルーバックス)


先日、本書の著者の藤沢さんの「夢を実現する技術 (PHP新書 496)」を読んで、気がついたのですが、藤沢さんはサラリーマン時代に上記のシリーズを出版されたんですね。

メーカーに勤務しつつ、著作活動を続けるのは大変だっただろうなぁと思いましたが、藤沢さんはさらに英検1級やTOEIC900点、通訳ガイド資格などの資格も働きながら取得してしまいます。

普通なら目の前の業務をこなすだけで精一杯ですよね。
仕事を終えて帰宅すると疲れ果てて抜け殻状態。

疲れ果てて抜け殻状態の人と、帰ってからも元気に執筆や勉強をこなせる人との違いは、仕事の段取り力にあったんですね。

まずは、仕事や会社への向き合い方が違います。
会社が自分を組織の歯車と思うなら、自分も会社を人生の歯車や道具と割り切っています。
だからと言ってもちろん手抜きをして適当に済ますのではなく、きちんと効率的に段取り良くやることはやってスタスタと帰るというスタイルです。
以前であれば「付き合い残業」みたいな事もあったでしょうが、最近ならやる事をやっていれば早く帰ることは美徳とされる会社も多いかもですね。もちろん、仕事を段取り良く済ませても、その後同僚と飲みに行って、愚痴こぼし大会では意味がありませんが…


藤沢さんの段取りの根底に流れるのは「悲観的で小心者」という点です。

・出張先でホテルの予約が取れてなかったらどうしよう
・客先に送った書類が届いてなかったらどうしよう
・部下に任せた仕事が期日に間に合わなかったらどうしよう
・外出中に重要なメールが届いていたらどうしよう
・ハードディスクが壊れたらどうしよう

など仕事をする上で心配事の種は数え上げればキリがありません。

が!

著者は、単に悲観的なだけで終わらず、きちんと対策を立てて実行します。
上の例で言えば

・出張先でホテルの予約が取れてなかったらどうしよう → 予約確認書を送って貰う。その上で前日に電話で確認。
・客先に送った書類が届いてなかったらどうしよう → 受領確認書を返送して貰う。宅急便等のコードは必ずメモ
・部下に任せた仕事が期日に間に合わなかったらどうしよう → 間に合わない場合を想定しておく。間に合いそうな人に頼む。
・外出中に重要なメールが届いていたらどうしよう → 携帯に転送設定しておく。携帯から短くても用件のみ返信する。
・ハードディスクが壊れたらどうしよう → 場所と時間の両方の軸でバックアップを取る。

という対策例があり、そして必ず実行します。

この「必ず実行する」が結構ポイントで、安全策を忘れたときに限って「あーーー。普段はちゃんとやってるのに、こんなときに限ってー」
という事態に陥りやすいような気がします。

特に、小心者や悲観的な人に限ってそうなる気がします。

私の友人でも、デフラグもバックアップも全然していない人のパソコンは案外壊れなくて、普段からきっちりとバックアップを取ってる人のパソコンは壊れやすいような気がします。
しかも、たまたまバックアップを忘れたときに限って壊れたりする。
と、思ったりしますが統計を取れば実際は変わらないんでしょう。

そんな悲観的な話以外にも、「知的作業の段取り術」では、効率の良い企画書の書き方や、分かりやすいプレゼンの方法も書かれています。
この辺は、さすが本職だけあってわかりやすいですね。

後半の実践編の「結婚式」を題材にした、段取り術が秀逸。
あれは、どうやればいいのか進め方がわかりにくい。

まず、なにから手をつければいいのかが全然わからない。
しかし、やるべき事をすべて書き出し、依存条件や制約条件等を図化してやれば、やる事やその順番が明確になっていきます。

「工程管理」を学んだことのある方にとっては、なじみの深い話かもしれませんが、結婚式などの実生活に応用するのは新鮮ですね。


仕事の段取りが結局は私生活の充実に繋がるという著者の考えにも共感しました。
職場ではうだつが上がらないけど、家では良きパパ(ママ)なんてのも実は幻想なのかもしれない。
家庭でも、年賀状の印刷とか、子供のビデオ撮影やデジカメ写真の管理など、家族での旅行など、真面目にやれば仕事並に面倒なことも結構ありますからね。

仕事でも家庭でも、段取りよくやるべき事をきちんとこなし、余裕のある人生を送りたいものです。

頭のいい段取りの技術
頭のいい段取りの技術藤沢 晃治 (著)
●なんで仕事がうまく進まない?
・しっかりやっているのに、効率的に進まない…・きちんと計画を立てたはずなのに、期日に間に合わない…・頑張っているのに、スピードが速くならない…これらは、あなたの能力が低いせいではありません。単に、「段取り」が悪く、知らないうちにムダな作業を習慣化しているせい。

●「効率マニア」の手法を初公開!
本書は、講談社ブルーバックスの「分かりやすい」シリーズで知られ、ムダと非効率をきらう「効率マニア」の藤沢氏が、仕事の効率を格段に上げる段取りのつけ方・やり方を教える本。NASAに学んだ仕事の進め方、あらゆる不測の事態に備えるフェイルセーフ思考など、少しでも多くの自分時間を作るために実践していた、著者独自の「段取り術」を初めて公開します。

●今日から誰でもスグできる!
・モレなく最短で仕事を進めるチャート仕事術・万一に備えた“時間をさかのぼる”バックアップ術・確実に仕事をこなすバッファ思考・余計な仕事をなくすデフォルト発想・仕事が劇的に速くなるクリアスペース・注意すべきポイントがわかるクリティカルパス──など、“段取り上手”になるための発想法から仕事の進め方、はては文書の段取りまで、具体的かつ実践的な仕事スピードアップのヒント満載です。

夢を実現する技術 (PHP新書 496)
夢を実現する技術 (PHP新書 496)
夢なんて、現実に追われて生きている大人には関係ない。
そう思うかもしれないが、夢を持つとは、主体性を持って生きるということなのだ。
夢を持てば人生は輝き、日々の仕事の効率も上がる。
また、夢とは生涯目標とすべきものだけではない。
「ピアノが弾けるようになる」、
これも立派な夢だ。
さらに言おう。夢は、実現しなくても、追いかけるだけですぐ報酬が入ってくるものだ。
毎日元気にあふれ、鬱々とした気持ちも晴れて、脳も活性化する。
それでも「自分には能力がない」「忙しくてとても無理」と思うなら、
劣等感の塊だった元・怠け者サラリーマンの著者のノウハウを試してほしい。
著者は会社に通いながら、英検1級に合格し、また講談社ブルーバックスから刊行した『分かりやすい』シリーズが
それぞれ10万部を超えるベストセラーになるなど、自らの夢を実現させてきた。
その著者が、本書で
「夢の見つけ方」「挫折しない実行計画のコツ」「時間活用術」などのノウハウを公開する。
本書はあなたの人生を変える一冊になるだろう。