「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉

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リアル書店で購入したが、前作と間違えて購入しないようにタイトルを何度も確認した。

なんと言ってもタイトルが「 「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い」である。

あるベストセラーが出ると、「○○の謎」とか「○○の秘密」などという本が出ることはよくある。
例えば、「超」勉強法 (講談社文庫)野口 悠紀雄 (著) に対して
「超」勉強法 「超」批判アルベルト湯川 (著) とか、ザ・シークレットに対してザ・シークレットの真実など。

しかし、著者自らが、ベストセラーとなった前作に対して、真っ向から対立するタイトルをつけるというのはかなり珍しいのではないでしょうか?
しかも、上下巻なのに。

前作の「食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉」が2007年4月発売なので、まだ1年経過していないわけですが、なぜか結構時間がたった印象があります。私の記憶だと下巻はたしか、当初2007年夏ごろ発売予定だったような…

それだけ、推敲に推敲を重ねた力作ということですね。
(本書の中で、映画の構想○○年というキャッチフレーズと作品の質に関係はないと書かれてますが…)
本書の二つの目的として


・数字が苦手な方が「数字の裏側」が見えるようになること
・「会計がわかればビジネスもわかる」といった誤解をとくこと

が挙げられています。

「「会計がわかればビジネスもわかる」といった誤解をとくこと」を、山田真哉さんが書かなきゃないということが、なんとも皮肉な感じですが、それだけ前作、前々作の影響が大きかったんでしょう。


著者のさおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉が、今の「会計」や「数字から考える」ブーム?に与えた影響と言うのは非常に大きいと思いますし、その功績は大だと思います。
一方、逆に数字の持つ力に惑わされたり、数字からの合理性からのみ判断するといった、やや著者の意図から外れた考え方を生み出すといった弊害もあったかと思います。
それがまさに、著者のタイトルの妙と言いますか、言葉の使い方がうますぎるゆえの悩みどころでもあるのでしょう。

例えば、前作の「食い逃げされてもバイトは雇うな」のタイトルも、数字による考え方の一例を表しただけですが、やけに過剰反応する人もいたみたいです。

そのことが、本書のタイトルや内容にもつながってきたのかと思いますが、経営や人生には数字だけでは計りきれない事も多々あります。
幅広い視点や複数の視点を持つことが、重要でしょう。

例えば、本書でも便利な言葉として「費用対効果」が挙げられていますが、「費用対効果から考えると○○です」というと、あたかも正解は一つしかないような気もします。
しかし、時間が無くてとにかく空腹を満たしたいときなら、ファーストフードや立ち食いそばが「費用対効果」が高いですが、お得意様を接待するときなら、いくら費用が安いからといっても、ファーストフードや立ち食いそばは使わないでしょう。
「どうせ、300円くらいの出費だから、効果は少なくても元は取れるね」と考える人は少ないはず。
お得意様の接待であれば、やはりミシュランとかなんか見てそれなりのお店にいくでしょう。

この辺の事例については、私の変な例えよりも本書に詳しいですが、まだ発売直後の本という事でネタバレは控えめです。
また、発売前まで秘密にしていた部分もあるみたいですので、そちらもあえてスルー。

それにしても本書を読んで感じたのは、山田真哉さんの新書に対する絶妙の巧さですね。

1時間で読める事を目指した、ビジネス書

と書いてありますが、私も駅ナカ書店で購入して、電車の中で読みましたが、ほどよくリラックスしながら集中して読めるという、背反することを見事にやり遂げていると思います。
(そのために意味も無く電車に乗りました(笑))
特に本書は、構成にある仕掛けというか工夫がしてあるので、飽きることなく読めると思います。


最後に、冒頭でも書きましたが、購入するときにはくれぐれも前作と間違えないように!

 「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉 (光文社新書)
「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字〈下〉 (光文社新書)山田真哉/著
はじめに 宝くじは有楽町で買うべきか否か
第1章 数字の達人は、特になにもしない――数字のウソ
第2章 天才CFOよりグラビアアイドルに学べ――計画信仰
第3章 「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い
    ――効率化の失敗
第4章 ビジネスは二者択一ではない――妙手を打て
終章  会計は世界の1/2しか語れない――会計は科学


食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉
食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字 〈上〉山田 真哉 (著)
【さおだけ】より【食い逃げ】!!!!
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』第2弾
●あの牛丼屋に食券機がない理由
●節約しているのにお金が残らない理由
●『ゲド戦記』がすごい本当の理由
●1グラムなのに「タウリン1000ミリグラム」の理由
●経営者がキリのいい数字を目標にする理由
●「9割が泣いた」というコピーに惹かれる理由
●客のいない古本屋が潰れない理由
●「0円」広告が多い理由
●大阪がいつまでも東京に勝てない理由
●株の法則がデタラメな理由

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)山田 真哉 (著)
数字大嫌い、暗記も苦手
でも会計は知っておきたい
大ざっぱに会計の本質をつかむ

◆挫折せずに最後まで読める会計の本


数字のツボ―決めつけ、常識破り、ざっくり なぜ牛丼用「おたま」の穴は47個なのか (PRESIDENT BOOKS)
数字のツボ―決めつけ、常識破り、ざっくり なぜ牛丼用「おたま」の穴は47個なのか (PRESIDENT BOOKS)山田 真哉 (著)
単行本: 199ページ
出版社: プレジデント社 (2008/02)
そもそも、本当におたまの穴は47個なんだろうか?
そして、47個の理由ってなんだろう?