「英語ベストセラー本の研究 」英語学習法の黄金律とは

戦後60年の英語学習のベストセラーとなった本を10年刻みで丁寧に解説し、その至極の名品の中から英語学習のヒントを拾い集め、究極の英語学習法を探る本。

著者は、英語3秒速答スーパートレーニングや「英単語速習術―この1000単語で英文が読める (ちくま新書)」「英単語倍増術―必須1000単語を二倍にする (ちくま新書)」などのベストセラー英語学習本の著者でもあり、また数々の英語教材の編集や学習ソフトの開発なども手がけた晴山陽一氏。
さらに、お父様は東京教育大学付属駒場中学校の英語教師です。幼少の頃から英語学習書籍の
本棚を眺めて育ったということで、戦後の英語学習本のベストセラーの歴史をひもとくにはぴったりですね。

本書では、英語学習本のベストセラーを10年刻みで振り返ってますが、そこで取り上げられている主な書籍は

(1) 1940年代――第一次英語ブームの時代
『日米会話手帳』『ジャック・アンド・ベティー』

(2) 1950年代――受験英語隆盛の時代
和文英訳の修業 4訂新版』『英文法解説』 『英文をいかに読むか

(3) 1960年代――第二次英語ブームの時代
アメリカ口語教本・入門用(最新改訂版),(初級用) ,(中級用),(上級用)』『英語に強くなる本 改訂新版―教室では学べない秘法の公開 (カッパ・ブックス)』『試験にでる英単語』『英語で考える本』 『基本英文700選

(4) 1970年代――逡巡の時代
国弘流英語の話しかた』『なんで英語やるの』 『英文解釈教室

(5) 1980年代――混迷の時代
日本人の英語 (岩波新書)』『起きてから寝るまで表現早引きハンドブック』シリーズ

(6) 1990年代――英語本ブームの時代
Duo 3.0』『英会話とっさのひとこと辞典』『英語できますか?―究極の学習法 (新潮選書)』『これを英語で言えますか?―学校で教えてくれない身近な英単語 (講談社パワー・イングリッシュ)

(7) 2000年代――第三次英語ブームの時代
英会話・ぜったい・音読 【標準編】-頭の中に英語回路を作る本』『ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本』『「超」英語法(講談社文庫版)

と、なっています。

さすがに、1940年代のものは私も直接(見た|読んだ)ことはありませんが、1950年代以降のものは読んだことのあるものもちらほら。1970年代以降になりますとほとんど読んだことがあるような…
英語学習の本でありながら、活用したとか学んだと言わずに、「読んだ」と表現するのも微妙なような気もしますが、まあとりあえず読んだことがあるものがほとんどでした。

この本のほとんどの部分はベストセラー書の研究に当てられていますが、その部分に英語学習のヒントがびっしり。

巻末にも著者自身がまとめられていますが、私が印象に残ったところの一部を引用すると
・英文法書は「S+V+O+不定詞」の説明を読みベンチマークとする
・体で覚えたことは忘れない
・「ひとりスピーキングは効果が高い」
・「名詞」と「a + 名詞」は別の単語
・英語を身につけられない人は基本的な見通しが甘すぎる
・『英会話とっさのひとこと辞典』は至れり尽くせり『英会話とっさのひとこと辞典』を10回音読すれば、英会話など怖くなくなるのではないかという充実ぶりである。

あと、英語本は当たればでかいようです。しかも息が長い。
・試験に出る英単語 1,856刷り 1,488万部
・基本英文700選は毎年10万部売れている(売れていた?)

第8章「究極の英語学習法」では、それらを踏まえたタイプ別の英語学習法を提案しています。

あと、英語学習本の著者でありながら「なんとなく」とかそんな動機でやると続かないからやめた方がいいよとも書いてます。

世の中にはもっと短時間でできて、効果の上がる勉強がいくらでもあるからだ。何となく英検準一級を取るくらいなら、もっと簡単にとれる資格を五つくらい取る方があなたの人生に目に見える進展があって楽しいかもしれない。

まあ、確かに。
着実に成果が出たり見えやすいものを平行してやるといいかもしれないですね。「なんとなく」でもブログなどで学習成果を記録してると成果が見える化できるのでいいかも。


さて、本書を読んで感じたのは、英語のベストセラー本を出すような英語学習の大家でも、多かれ少なかれ苦労してるという点。
特に、昔の人は今ほど教育環境が充実してない中での学習ですから相当苦労なさってますね。
そういう苦労を重ねた末に学んだ成果だからこそ、人にわかりやすく伝えられるのかもしれないですね。
英語学習とは別に、「苦労を重ねてる人ほど人に優しくなれるのかな-」とそんな事を考えました。

苦労を重ねてる方は、ベストセラー著者になれる可能性があるかもです。ツイてますね!

あと、著者の方が本書に関してネットで記事を書いてます。良かったら参照してみてください。
晴山陽一の「本で変わる、あなたの英語」:NBonline(日経ビジネス オンライン)
第1回 ベストセラー英語本は語る~ 最初の課題は「学習への抵抗感」なのだ:NBonline(日経ビジネス オンライン)
第2回 すべての本が音読を勧めるのはなぜか? ~秘密は「ヴェルニッケ中枢」と「ブローカ中枢」の連携に:NBonline(日経ビジネス オンライン)


英語ベストセラー本の研究 (幻冬舎新書 は 4-1)
英語ベストセラー本の研究 (幻冬舎新書 は 4-1)晴山陽一 (著)

戦後60年にわたるミリオンセラー級の英語学習本を徹底研究。それらのエッセンスを集約してみると、日本人の英語学習にもっとも必要なもの、足りないものが何であるのかが見えてくる!!

戦後日本のベストセラー史は英語学習本の歴史でもある。一九四五年、たった三カ月で三六〇万部も売れた『日米会話手帳』を嚆矢とし、その後、数多く刊行され大量に売れた「英語の本」は何を語っていたのか。それらを年代ごとに詳細に検証してみたところ、驚くべき法則が導き出されてくる。それはまさしく、英語が上達しない日本人の弱点に他ならなかった。そして、それらをさらに精査すると、日本人に必要な英語学習法の黄金律が見えてきた!

本書の作りが丁寧で面白かったので、同時期に発売された下記の本も読んでみようと思います。

知的生産のためのすごい!仕事術 (青春新書INTELLIGENCE 206)
知的生産のためのすごい!仕事術 (青春新書INTELLIGENCE 206)晴山 陽一 (著)
本は逆から読め、計画は立てるな、自分を透明化する、「ひらめき」の原理を知る、仕事は「していない時」に進む…など、「いい発想」が次々生まれる12の極意を一挙公開!これさえ知れば、どんな仕事もうまくいく!!