ディスカヴァートゥエンティワンの『名言シリーズ』には外れがない!
(『名言シリーズ』とは僕が勝手に呼んでいるものです。正式名称は知らない
既刊には
・バルタザール・グラシアンの 賢人の知恵
・中国古典の知恵に学ぶ 菜根譚
・アランの幸福論
が、あります。)
その知名度の割には、案外読んでいる人が少ない(と思われる)ニーチェ。
年配の人の事情はわかりませんが、若い人では読んだことがない人が大半ではないでしょうか? 実は僕もそんなに傾倒して読んだ記憶がない。
なんとなく暗そうというか、面倒くさそうなイメージというか、暗くて面倒くさい人なら鏡の中でいつでも会えるし。
そんなニーチェですが、本書『超訳 ニーチェの言葉』に限れば若い人にも人気みたいですね。
僕も読んでみましたが、「へぇー、こんな事も言ってたんだ」といい意味で期待を裏切られました。
本書は、ニーチェの色々な著作からの言葉を集めた箴言集となっています。おそらく、ニーチェがそれらの本を書いた年代もバラバラで、思想的にも変遷があったものと思いますが、それがいい感じでまとまっています。
いい感じに思える原因の一つが、文体にあるのかなあと思います。本書の中のニーチェは30代半ばから40才くらいのイメージ。
大思想家が語ってる感じでもないし、もちろん極端にくだけた感じでもない。人生のちょっと先輩が若い人に向けて、語りかけてくれる感じなので素直に受け取ることができますね。
全般的には明るく力強い言葉が多いですが、その中でチクチクと孤独の大切さや自分で考えることの重要性などが出てくるのもいい感じ。
チクチク加減がいい。ツンデレの反対のデレツンな感じ。
本書だけでも、楽しめますが、他の名言シリーズとも合わせて読んでみるとまた味わい深いですね。
また、以前『バルタサーン・グラシアン』の本を友人と回し読みして、印象に残ったところを付箋をつけてもらうという読書会のような事をしたこともありましたが、そういう読み方をしても楽しいですよね。
印象に残った言葉の一つを引用すると
●182 本を読んでも
本を読んだとしても、最悪の読者にだけはならないように。最悪の読者とは、略奪をくり返す兵士のような連中のことだ。つまり彼らは、なにかめぼしいものはないかと探す泥棒の眼で本のあちらこちらを適当に読み散らかし、やがて本の中から自分のつごうにいいもの、今の自分に使えるようなもの、役に立つ道具になりそうなものだけを取り出して盗むのだ。
そして彼らが盗んだもののみ(彼らがなんとか理解できるものだけ)を、あたかもその本の中身の全てであるように大声で言ってはばからない。そのせいで、その本を結局はまったく別物のようにしてしまうばかりか、さらにはその本の全体と著者を汚してしまうのだ。
今だったら、こんなことを言う著者がいたら、ブログ炎上しそうな気もしますが、自分への戒めとしてこの言葉は覚えておきたいなと思いました。
超訳 ニーチェの言葉 (単行本)白取 春彦 (著)
ニヒリズムや反宗教的思想といった独自の思想により
二十世紀の哲学思想に多大なる影響を与えた、十九世紀ドイツの哲学者ニーチェ。「神は死んだ」という主張やナチズムとの関わりを噂されるなど、様々な伝説に彩られた孤高の哲人だが、
実は彼は、ほとばしる生気、不屈の魂、高みを目指す意志に基づいた、明るく力強い言葉を多数残している。本書では、それらの中から現代人のためになるものを選別した。心ゆくまで、
あなたの知らなかったニーチェの世界を堪能していただきたい。本文より:
「自分を常に切り開いていく姿勢を持つことが、この人生を最高に旅することになるのだ」
「今のこの人生を、もう一度そっくりそのままくり返してもかまわないという生き方をしてみよ」
「死ぬのは決まっているのだから、ほがらかにやっていこう。いつかは終わるのだから、全力で向かっていこう」
「喜ぼう。この人生、もっと喜ぼう。喜び、嬉しがって生きよう」
高森
「超訳 ニーチェの言葉」自分もこの前買いました(^^)
ニーチェの名前だけは聞いたことがあったんですが、ダークな言葉が多いとかは知りませんでした。
でもこの本だとすごく前向きになれそうな言葉が多くて好きです。
本シェルジュ村上
掠奪者にならないように気をつけねば・・
と思いました。
名言の本とか 名著のまとめ本とかって
読者にとっては原著より、読みやすくまとめてくれているのが
うれしいですが、そのことにより
著者の言いたかった本当のことを
読み間違えないようにしたいですね。