『マキコミの技術 最前線から見たソーシャルメディア・マーケティング』

サブタイトルに『最前線から見たソーシャルメディア・マーケティング』とあるように、まさにネットの最前線を駆け抜けている、[N]ネタフルのコグレさんと、[mi]みたいもん!のいしたにさんよる新刊です。

(コグレさんパートは赤、いしたにさんパートは紫で付箋を付けてみました)


前作の『クチコミの技術』から、3年9カ月ということでソーシャルメディアのツールはブログからtwitterやfacebookへと変化しています。それとともに、情報発信はより容易になり、そしてあふれかえる情報により情報の賞味期限は短くなりました。そのようにネットの新しいツールにより変化したものと、逆にそれでも変わらない本質的な部分を言語化したものが本書です。企業でソーシャルメディアの活用を考えたり、個人でもネットで面白いことをしようと思ってる方には必読ですね。

僭越ながら本書の中で僕のことも紹介いただいています。せっかくのなので引用させていただきますね。

 このように、地域でのツイッター活用は、各地で始まっているようです。「俺と100冊の成功本」の聖幸さんに誘っていただいて、ツイッターのセミナー講師として足を運んだ青森県八戸市では、会場に集まった人達がセミナー後もツイッターでコミュニケーションを継続していたり、新しいイベントを開催している様子が伺えます。リアルでの関係をツイッター上に反映させて継続していく、ということは、これからも増えていくでしょう。

 ツイッターは、世界中のユーザーと知り合える一方で、小さなエリアでのコミュニケーションを盛り上げることもできるサービスとも言えます。

著者のコグレさんといしたにさんには、お忙しい中無理を言って今年は2回も青森県八戸市まで足を運んでいただきセミナーの講師を務めて頂きました。ありがとうございます!ツイてます!

さらに!本書の表紙の選定にもその八戸セミナーで意見を聞いて参考にしていただきました。ツイてます!
そして、思えばこの『マキコミの技術』の内容で開催されたセミナーは青森県八戸市が最初だったということで本当にうれしく思います。ありがとうございます!

コグレさんといしたにさんの八戸でのセミナーは2回とも、twitter上での会話がきっかけでその場の勢いで決まったように記憶しています。
今年は、ほかにも、ウジトモコさんや美崎栄一郎さんというベストセラー著者の方のセミナーを主催させて頂きましたが、それらもtwitter上での会話がきっかけでした。

このように、ネットでの会話がきっかけとなって、リアルでの面白いことに、巻き込んだり巻き込まれたりというのは僕も体感しているところです。

しかし、「それじゃあ、ネット上でしつこくからんで粘着すればいいんだな」ということで、やみくもにからんでも多分上手くいかないでしょう。そこには、信頼関係が重要です。

信頼関係については、本書の本文の中で再三再四強調されています。

p28

飲み会の席では、顔見知りではなくても「以前に会話したことがあるあのアイコンの人」というような、なんとなく知っている人が多くなり、初対面でも打ち解けやすい状況が生まれています。

p040

長くブログを読んでくださっている人には、ネタフルの方向性や考え方、趣味を知っていただいているでしょうし、長く読んでもらっているからこその信頼感のようなものも醸成されているのは間違いありません。

p042

この影響力のベースとなるのは、信頼によるつながりです。信頼は一朝一夕では得られず時間をかけて育てていく必要があります。結論としては、ソーシャルメディアに自分から入り込んで、ある程度の継続をしていくということが必要です。

p048

ユーザーから巻き込まれ続けるということは、自社が関心を持たれ続け、期待をされているということでもあります。期待に応えることが信頼を生み、ユーザーが商品やサービスを手にすることも増えるでしょう。言い換えれば、巻き込まれるということは、ユーザーから「指名買い」をされている状態だとも言えます。

p050

継続することで積み重ねたログが、自分への信頼の醸成にもつながっていきます。本書で紹介する企業の多くも、ソーシャルメディアに参加し足跡を残し続けることで、現在ようやく結果的にいいことがあった、という状態を迎えています。

p054

一般には「ギブ&テイク」という言葉がありますが、それよりも「ギブ&ギブ」、つまり与え続けることを心がけて、情報を発信し続けたり、疑問に答えたりしていくことが重要なのです。そのように継続していくことで強い信頼感が生まれ、「結果的に」いいことが起きたり、なにか問題が起こった際にも誰かが現れて助けてくれる、というような環境ができあがっているものです。

p120

信頼できる人であるかそうでないかは、これまで継続してきたものを見ればわかります。そのため、一緒に仕事をしたいかどうかの判断基準は、どのような会社かというよりも、担当してくださる人自身がどのような人か、という方に比重を置くようになっています。

p168

自分の存在がネットでいくらか知られるようになり、ちょっとしたお願いができるような親しい人や、自分を信頼して楽しみごとをしてくるような人ができていきます

p171

これはツイッターだから時間がかかったというわけではありません。飲食店という業態でお客さんとの信頼関係を築くには、これぐらいの時間がかかるのは当たり前だということです。


また、信頼関係もマキコミも「結果的に」ということ。
p049

ぼくといしたにさんは、ブログを書き続けたり、ツイッターでツイートをし続けてきたことで「結果的に」書籍の執筆依頼をいただいたり、セミナーの講師をさせていただいたり、雑誌で連載をさせていただいたり、といったことが起こりました。あくまでも「結果的に」であり、最初からそうなりたいと狙っていたわけではないのです。

僕もネットの活動を通じて、いい意味で「どうしてこうなった??」という事は多々あります。狙ってうまくいくもんでもないし、これは場数を踏むしかないでしょうね。

場数を踏むことによって、ネット上での面白いことが起こりそうな事、逆に危ない雰囲気の人を敬遠したりという事への嗅覚が鋭くなっていくんじゃないでしょうか。何事も、好きなことだから継続できるし、継続しなきゃ実績も出ないですよね。

さて、今年も各所で大活躍だった著者のお二方ですが、忘れちゃいけないのが、今年の6月の八戸市議会において、八戸市議会議員の藤川優里先生(わかりやすく言うと「美人過ぎる議員」ですね)により、お二方のお名前が言及されたことです。


Togetter - 「平成22年6月八戸市議会定例会一般質問 自由民主クラブ 藤川優里議員質問時のtwiiter上の反応」
平成22年 6月 定例会-06月16日-04号

このように、テレビ、雑誌のみならず、映画や大手ビールメーカーとのタイアップまで、まさに多角的なPRに取り組まれ、水産都市、産業都市八戸のみならず、観光都市への彩りを加えてきていると言ってもよい当市の観光PR政策ですが、今、話題のコミュニケーションツールとしてツイッター、140文字のつぶやきを当市では他の自治体に先駆け積極的に活用されたという記事を全国紙で目にしました。ツイッター上でも、ネット業界ではカリスマと呼ばれているコグレマサトさん、いしたにまさきさんが八戸キャニオンのネタをつぶやき、ツイッター上で大評判になったりしています。
 そこで、お尋ねいたします。八戸の観光PRにおいてツイッターを活用している目的や今後の展開、また、東北新幹線全線開業を控え、改めて多角的観光PRについてどのような戦略をお持ちなのか、お尋ねいたします。

 
これだけ、八戸キャニオンをPRしたから、来年こそは八戸キャニオンの下の方に降りることができるといいですね。僕も微力ながら頑張りたいと思います。


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マキコミの技術
コグレマサト (著), いしたにまさき (著)

目次
第1章 時代は「クチコミ」から「マキコミ」へ
リヤカー書店「ネタフル堂」開店
ツイッターで近づいたリアルとネット
ソーシャルメディアの「深い」影響力
影響し合い、ユーザーに巻き込まれる企業
「マーケティング」「ブランディング」の枠を超えて
Work 1:自分のリヤカーブックスを開くとしたら?

第2章 コツコツ「継続」がソーシャルメディア上の土台
ネットで存在を認識されるために必要な「継続」
コグレマサトの「継続」の歴史
いしたにまさきの「継続」の歴史
効果的な「継続」のためのノウハウ
ブログブーム初期からコツコツと続く日産自動車の取り組み
Work 2:「継続」できなかったブログの改善案を考える

第3章 つながりを育てる「ギブ&ギブ」の精神
「つながり」こそがネットの醍醐味
味わったらやめられない! リアルでつながる「オフ会」の楽しさ
コラム:転んでもただでは起きなかった「ONEDARI BOYS」
コグレ流、オフ会ができるまで
コラム:ユーザー集団は「コミュニティ」から「クラスター」へ
ネットでは「ギブ&テイク」よりも「ギブ&ギブ」
ブロガーとのつながりを育ててきたサントリーのソーシャルメディア施策
Work 3:「つながり」を作るオフ会を企画する

第4章 「マキコミ」から生まれる新しい価値
巻き込み、巻き込まれて、従来にない価値が生まれる
時間をかけてユーザーと付き合う「豚組」のスタイル
幅広くパートナーと手を組むエバーノートの人気の仕組み
コラム:「クチコミの技術」でのクチコミ施策
仕掛けでユーザーを楽しませるAXEボディソープの「新宿駅前風呂」
コラム:UCCの失敗と迅速なリカバー
コミュニケーション手段の変化と「ポストペット」の進化
企業とユーザーのよりよい「マキコミ」のために
Work 4:あなたは誰と「マキコミ」したい?

巻末特別座談会 野村宗弘×コグレマサト×いしたにまさき