『日本人の9割に英語はいらない』という過激なタイトル。
この「9割」という数字は適当に「えいやっ!」とつけたものではなく、ざっくりながらも著者の成毛さんが統計からきちんと導き出したもの。
逆にとらえれば「日本人の1割に英語は必要だ!」と言ってるようにも聞こえ、この9割という数字が田舎のおじいちゃんおばあちゃんから、赤ちゃんまでを入れて9割ということを考えると、都市部に住んでいて働き盛りでなおかつ書店でこの本を手に取るような層ならば、もう少しその率は変わるのかな。
前半は、成毛さんの英語不要論。以前、『本は10冊同時に読め』を読んだときにも「この人はなんでこんなに怒っているのだろう。こんなに怒ったら健康を害するんじゃないか」と思いましたが、その勢いでひたすら怒っています。
しかし「愛の反対は無関心」とも言います。怒っているようで、心から心配しているという愛情の表れだと思います。多分。
主張をざっくりと勝手に意訳すれば「必要のない努力はするな。その分自分の仕事を一生懸命したり、必要な教養を身につけろ」です。
私は、個人的には仕事で英語を使うこともありませんし、多分今後も使う事はほとんど無いと思います。
しかし、そんな私でも英語ができたらいいなあと思うことが2つ有ります。
一つは、ソーシャルゲームなどをやっているときです。海外のプレイヤーとのアイテムの交換や意思の疎通にどうしても必要になるときがあります。大半は定型的な会話なのでコピペで済むのですが、ゲームですからリアルタイムでの英語の反射神経が必要なときに困ります。
もう一つが、翻訳書を買うときや読後に、地元での評判などを参考にしたいときです。こちらの場合は反射神経は必要ないし、自分で気の利いた言い回しを言う必要もないのですが、やはりもう少し英語力があればなあと思うときがあります。
日常、困るのはその2点だけで、できたからといって収入が上がるわけでもないし、できないからといって多大な経済的な損失があるわけではありません。ただ、英語ができれば、ゲームの攻略情報を海外にも発信できて海外のプレイヤーとも交流が図れるし、本の方も英語でブログくらい書ければさらに世界が広がるのにと思います。思うだけで、ほどほどにしよう。
本書は、きつい口調なので誤解されやすい部分もあると思いますが、やみくもに英語を否定しているわけではなく、勉強のための勉強を戒めています。
これは、「平積みになっているから、これくらい読まなくては」と、目的もなく読書をしていることにも通じることですので自分も気をつけなければ。
色々厳しいことが書かれているので、当然「お前自身や身内はどうなんだ」という声もあるかと思いますが、成毛さん自身の英語との関わり方や英語の勉強法!も当然書かれていますし
勝者におつとめのお嬢さんの、処世法も書かれています。商社ですから、当然英語ができた方が有利と思いがちですが、成毛家流はひと味違います。短期的に見ても長期的に見ても成毛家流は参考になりますね!
安易にみんなが英語を勉強しているからということで流されるのではなく「自分のすべきことはなんなのか」「自分の仕事の本質はなんなのか」「自分の価値はどこにあるのか」という事を常にしっかり考えていかねばと思いました!
おひげの方達も本書について書かれています。
・【脱英語?】『日本人の9割に英語はいらない』成毛 眞:マインドマップ的読書感想文
・404 Blog Not Found:書評に代えて - 日本人の9割に英語はいらない
英語ができても、バカはバカ。「社内公用語化、小学校での義務化、TOEIC絶対視……ちょっと待った!」
マイクロソフト元社長が緊急提言「英会話に時間とお金を投資するなんてムダ」
「頭の悪い人ほど英語を勉強する」
「楽天とユニクロに惑わされるな」
「ビジネス英会話なんて簡単」
「英語ができても仕事ができるわけではない」
「インターナショナルスクールを出て成功した人はいない」
「早期英語学習は無意味である」――元外資系トップだからここまで言える!
挑発的かつ実践的な、真実の英語論
目次
第1章 本当に英語は必要なのか●頭の悪い人ほど英語を勉強する
●創造力のない人ほど英語を勉強する
●本当に英語が必要なのは1割の人
●英語を話せなくても罪悪感を抱くな
●語学に「備え」は通用しない
●「英語ができない日本人」というデータに騙されるな
●日本人は英語に対してお人よしすぎる
●英会話スクールのカモになるな
●早期英語学習は無意味である
●自信がないなら通訳を雇えばいい第2章 英語を社内公用語にしてはいけない
●楽天とユニクロに惑わされるな
●「チョドメ企業」の愚かな選択
●英語ができても、バカはやっぱりバカである
●本当の英語力が求められるのは、外資系企業でも3%に過ぎない
●TOEICを妄信するな
●海外で成功したいのなら自分の武器を磨け第3章 本当の「学問」をしよう
●大人の学問をしよう!
●英語を勉強するのは最後でいい
●読書で分かる国家の衰退
●日本が抱える7つの大罪
●真の教養とは何か
●日本人はなぜ思考を磨けないのか
●海外の本は日本語で読め第4章 日本の英語教育は日本人をダメにする
●「小学校の英語教育義務化」で、最後に利益を得るのは誰か?
●帰国子女は不幸である
●受験英語が日本の教育をダメにする
●現代日本が見習うべき、戦前の英語教育
●インターナショナルスクールを出て成功した人はいない第5章 英会話を習うより、本を読め!
第6章 それでも英語を勉強したい人へ~成毛流英語学習法
●私は英語を勉強しなかった
●英会話の基本はマンツーマン
●日常英会話はフレーズで覚えるのが基本
●単語力はヒアリング力をアップさせる
●ビジネス英会話はただの道具だ
●ビジネスでは英会話力よりマナーが大事
●ビジネスメールはさらに簡単
●海外に行くときは鉄板ネタを仕込んでおく
●それでもネイティブに近づきたいなら「パラレル発音法」を
●なぜ恋愛とケンカは語学学習の王道なのか