楽しいみんなの写真 -とにかく撮る、flickrで見る。ソーシャルメディア時代の写真の撮り方・楽しみ方

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(今年1月の浅草での「みんなの写真撮影会」のときの写真)

先日の
カネイリビジネスフェア2011限定スペシャルセミナーご来場ありがとうございました。:[俺100]
という記事でも少し触れましたが、
大山顕(OHYAMA Ken .com)さんと[mi]みたいもん!のいしたにまさきさんの新刊です。

 デジカメの普及により写真の楽しみ方も以前とは変わりました。携帯電話にカメラ機能がつくのも当たり前になりました。さらに、Flickrなどの写真共有サービスや、そこにアップされた写真を広めるSNSの普及により私たちの写真とのつき合い方も大きく変わりました。

 それらの技術の日進月歩の発展に対して、私たちの写真に対する意識がまだ追いついてない部分もあります。

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機材に関して、
  デジタル一眼レフカメラ > コンデジ > 携帯のカメラ
 のようなヒエラルキーが存在したり
(「○○という被写体に対して携帯で撮影するのは失礼だろう!」という文脈などで)

 構図に関して被写体がど真ん中に来ているようないわゆる日の丸写真に対しての反応だったり。

 僕自身も子どもの写真を撮影したりたまに電車や工場の写真を撮りに行ったりする程度で、どれがうまい写真かなどというのは全然分からないし、なのでどうすればうまくなればいいかというのももちろんわかりません。
 
 そうは言っても、自分の子どもや大好きな電車はより魅力的に撮りたいのが人情。せめてもの抵抗として、たくさん撮ってればそのうちまぐれ当たりもあるかなということで、ひたすら連写しています。

 しかし、本書を読むと「もう写真は特別なものじゃないんだな」という感じで肩の荷が下りて気楽に写真とつきあえるようになります。

 ただ、それをそのまま真に受けると痛い目に合うような気もします。「うまく撮ろうと思うな」「まずは撮ること」
と言っているお二人は、あとがきから引用すると

いしたにさん

私が写真と自覚的につきあうようになって約20年

大山さん

工場や団地ジャンクションなどの写真を撮るようになって十数年


二人合わせると三十数年のキャリアを持つ人たちが達した「うまく撮ろうと思うな」という言葉を、デジタル一眼レフカメラを買って2年程度の僕が真に受けていいものかどうなのか。

ブログを3万記事書いているネタフルのコグレマサトさんも「ブログは呼吸するように自然に書けばいいんですよ」と言いつつ、裏では必死にアクセス解析したりアフィリエイトの管理画面とにらめっこしているという噂があります。あくまで根も葉もない噂です。事実無根です。

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と、こういう疑問を持ったまま終わるところですが、幸いにして私は先日八戸でのセミナーの関係で大山さん、いしたにさん、コグレさんと一緒に写真を撮る機会に恵まれました。八戸市内の工場群などを一緒に撮影したのです。

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 で、本書の共著者のお二方がうまく撮ろうと思っていたのかいないのかは正直分かりません。

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本を読むのは得意ですが、エスパーじゃないので他人の心の中を読むことはできません。

ただ、この時期の八戸市は夜になると、手もかじかむほどにかなり冷え込むのですが、それでもお二人は「寒いので適当に切り上げますか」という事も無く、逆に地元の僕が寒さでまいってしまうほどでした。

 コグレさんも、発売されたばかりのiPhone4sのカメラの性能テストに余念がなく、皆さんそれぞれ「らしさ全開」でした。

 宿に戻ってからも、その日撮影した写真を早速PCに取り込んだり、回線状態が悪い中でもFlickrにアップしたりと日々の生活習慣のなかにすっかりルーチンワークとして入り込んでいる感じでした。こういう裏表のない方々の話なら信用して良さそうです。

また、本書の第2章の大山さんの写真のワークショップに関することでこんな言葉があります。

 今までこのワークショップの舞台に選んだ街は、渋谷、大盛、五反田、目黒、向島、川口などなど。仙台でも行ったことがある。分かったことは、およそ都市ならどこでもいいってこと。よく「なにもない街ですが…」なんていうけれど、そんなことはない。絶対になにかある。「別に注目するようなものじゃないと思っているもの」がある。ありきたりの言い方だが、要するに僕らの目の問題なのだ。

先日の八戸でもまさにこれと同じ事が起こりました。
新幹線までの空いた時間で八戸駅周辺で写真を撮ろうとする大山さんに対して「この辺はなにもないですから〜」ととある地元の人が言ったのです。それに対して、大山さんは「なにもない街などない!」と言い残して出かけていきました。

実際、その辺は繁華街でもないし工業地帯でもないし、そうそう面白い被写体があるような場所ではありません。

そして、そう言い残して出て行った大山さんの写真の一部がこちらです。




多分私は、何百回と同じ風景を見ていると思いますが、まったく見過ごしていたものばかりでした。

で、ここで強調しておきたいのは「どこの街にも気づかれにくいけどいいところあるよね」ということではなく、大山さんが写真をtwitpicにアップし、twitterで共有したからこそ気づくことができたということです。まとめを読むとさらに色々な反応が返ってきています。道路補修の熱膨張問題だったり、つげ義春の漫画の話だったり。楽しく話題が広がっています。これは、大山さんが写真を撮影して一人でニヤニヤながめていただけでは起こらないことです。共有したり拡散したりは重要ですね。

 私もFlickrはアカウントを持っていてときどきアップしていますが、幸い本書にはフリッカーの解説も巻末に載っているのでもっと活用していこうと思いました。

 プロを目指す人でもない限り、「正しいことより楽しいこと」という感じで写真とつきあえば、ここ数日ネットで流行している「挫折」とも無縁に長く楽しんでいけるんじゃないかなぁ。

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楽しいみんなの写真 -とにかく撮る、flickrで見る。ソーシャルメディア時代の写真の撮り方・楽しみ方
いしたにまさき (著), 大山 顕 (著)

誰でも簡単に携帯やデジカメで写真を撮って公開できるようになり、デジタル化された写真が大量にソーシャルメディアに流れている今、写真の撮り方や見方、楽しみ方、そしてその役割にも変化が起きています。

 本書は、「みんな」をキーワードに、ブログ「みたいもん!」のいしたにまさき氏が「写真を見る」という側面から写真共有サイトflickrを使い、写真とソーシャルメディアの関係性を探り、「工場萌え」の大山顕氏が「写真を撮る」という側面から、自身が開催している写真ワークショップの実体験を振り返り、写真と人とのつながりを掘り下げていきます。

「ちょっといいデジカメを買ったけど、なにをどう撮ったらいいのかわからない」「そもそも“良い写真”ってなんだろう?」「flickrは登録したけど使っていない・・」という人にぜひ読んでもらいたい1冊です。

目次 1章 写真を見る-なぜflickrを使うのか? ソーシャルメディアに流された写真が導く先

 日本は世界の最先端だった
 オープンな世界でむやみに流通する写真
 flickrはなぜflickrになったのか?
 自分と他人の写真アーカイブからわかること
 デジカメというマーケット
 ソーシャルメディアの中で流通する写真
 常識はずれのiPhoneアプリ、Instagram
 ソーシャルの中の写真とコミュニケーション
 外部に写真を供給する貯蔵庫としてのflickr
 写真は流通したくてたまらない
 ◇ column とれるカメラバッグ

第2章 写真を撮る-「良い写真」ってなんだろう? みんなで撮る、という行為から生まれるもの

 写真のプロセスのアウトソーシング
 大山顕の写真ワークショップ1日目「別に好きじゃないものを撮る」
 大山顕の写真ワークショップ2日目「瞬間写真」
 大山顕の写真ワークショップ3日目「他人になりきって撮る」
 僕らはなんのために写真を撮るのか

第3章 写真をシェアする-東日本大震災からわかる、写真の役割

 被災地と「みんなの写真」-いしたにまさきの視点から
 東京の帰宅難民と「みんなの写真」-大山顕の視点から

おわりに 編集後記としての座談会

 人が写真を撮る姿を観察する
 みんなで撮るといい理由
 デジカメに任せて撮る
 アートフィルターをかけた写真からわかること
 コピーライト(著作権)とクリエイティブ・コモンズ
 進化するウェブサービスと写真の公開設定
 ウェブサービスにおいて重要なものはすべてflickrの中にある

Appendix flickrの基礎

 最初にすること
 フォトセットを作ろう
 あなたの写真をみんなとシェアしよう
 flickrでもっと写真を探す方法
 プロアカウントのすすめ
 できればEye-fiを使おう
 おまけ


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工場萌え
大山 顕 (著), 石井 哲 (写真)


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ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である
いしたに まさき (著)