小飼弾の 「仕組み」進化論

404 Blog Not Foundの小飼弾さんの新刊です。


すでに、弾さんのブログの関連記事などで、ご存じの方も多いかと思います。
404 Blog Not Found:「小飼弾の 「仕組み」進化論 」、本日発売+重版決定
404 Blog Not Found:紹介 - 「小飼弾の 「仕組み」進化論 」、3月19日発売です

弾さんはブログや著書などで、プログラムなどの本業のIT関係の事はもちろん、社会政策などにも舌鋒鋭く切り込む事も多いですが、本書はその多彩な知識と豊富な経験を元に、「仕組み」について注力して言及してあり、いい意味でまっとうなビジネス書となっています。

従来の、仕組みを回す仕事で労働時間のほとんどを費やしていては、環境の変化に対応できず、新しい仕組みを見つける時間を確保すべきである」という主張も、それが「新しい仕組みを見つける時間を80%は確保すべきである」となるとやや過激な印象も受けます。
しかし、それぐらいの気概や高い目標値がなくては、新しい仕組みを見つける事は難しいのかもしれません。また、「労働時間の80%」も、人間の脳は寝ている間でさえ完全に停止しているわけではなく、活動しているようですので、「生きているかぎり24時間が労働時間」と考えればあながち無理ではないのかもしれません。


仕組み作りにおいては、徹底的に現状の問題点を洗い出したり、日々記録したり、考え抜く事が求められます。

本書で出てくるプログラマの三大美徳「怠慢」「短気」「傲慢」も、「キーボードやモニタを見たら吐き気がする」という感じでは話にならないでしょう。

仕組み作りは、怠惰や効率を目指すだけでなく、より本質を目指すという行為なのかもしれません。

あと、仕事のやり方というものは、各業界において色々違うと思いますが、そういう意味においてもこの本は興味深いと思います。非エンジニア系の人は是非。

たとえば、本書でも言及されている「PERT(Program Evaluation and Review Technique)」や「ネットワーク図」
PERT(Program Evaluation and Review Technique) - @IT情報マネジメント用語事典
ネットワーク図 - @IT情報マネジメント用語事典
などは、他人と関わる仕事(どんな仕事でもそうか…)では、必須だと思います。

仕事以外でも、サイクルタイムを算出して、一工程をパックとして見積もるのは役に立ちますよ。多分、生活の中では、皆さん無意識にやっていると思いますが…


同じ時期に、勝間和代さんの『会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く (光文社新書)』も読みましたが(感想は後で書く)、従来の年功序列という仕組みも、運用しつつ新しい仕組みも、模索してれば良かったのだろうと思いました。が、うまくいってるうちは、別に誰も考えないですよね。

しかし、社会全体の仕組みは一朝一夕に変える(変わる)事は、難しいでしょうが、個々人の仕事のやり方などは、社会全体の仕組みを変革する事に比較すると難しい事ではないでしょう。
また、そのような一人一人の意識の変化が、やがて社会を変える事にもなるのかもしれません。


小飼弾の 「仕組み」進化論
小飼弾の 「仕組み」進化論小飼 弾 (著)
出版社: 日本実業出版社 (2009/3/19)

◎「仕組み」づくりで本当に考えるべきこと
ビジネスモデル、業務フロー、システム化など、すべての仕事は様々な「仕組み」からできています。しかし、環境が激変していく今後も、従来通りの仕組みを回し続けていて生き残れるのでしょうか――。 No.1アルファブロガーであり、カリスマプログラマーである著者が、エンジニアの視点から、変化に負けずに生き残っていくための“仕組みづくり”と“働き方”を提言します。

◎目次
Part0 仕組み作りが仕事になる
Part1 仕組みの仕組み 仕組みを作る前に知っておきたいこと
Part2 仕組みを作り直す 目の前の仕事を20%の力でこなす仕組み
Part3 仕組みを使う 仕組みのコストとテストを考える
Part4 仕組みを合わせる チームで仕組み合うために
Part5 仕組みと生物 「新しい仕組み」を作るヒント
Part6 仕組みの未来
あとがき 本書ができあがるまでの仕組み

会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く (光文社新書) (光文社新書)
会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く (光文社新書) (光文社新書)勝間和代(著)

リスクが高まる現代、個々人は、企業は、国は、これから何を考えなければならないのか。
時代のキーパーソンが語る、将来に向けた新しい意識を得るための、具体的提案の書。

◎ 目 次
プロローグ    リスク・リテラシーと終身雇用制
第  1  章  会社に人生を預けるな
第  2  章  リスク・リテラシーを磨く
第  3  章  「お上」に人生を預けるな
第  4  章  21世紀のパラダイムシフト
エピローグ    リスクを取る自由

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