ぼくには数字が風景に見える

円周率22,500桁を暗唱し、10ヶ国語を話すイギリスの青年ダニエル・タメットさんの手記。
ニックネームはダニーさんでしょうか。
これだけの能力を持っているということであれば、めでたしめでたしですが、ダニエルさんはこれらの優れた能力を持つと同時にサヴァン症候群やアスペルガー症候群、共感覚といった他の人にはあまりない面も持っています。

参考
サヴァン症候群 - Wikipedia

サヴァン症候群とは、知的障害を伴う自閉症のうち、ごく特定の分野に限って、常人には及びもつかない能力を発揮する者を指す。サヴァン症候群の共通点として、知的障害と共に異常といえるほどの驚異的な記憶力・表現力を持つことが挙げられる。

アスペルガー症候群 - Wikipedia
アスペルガー症候群は発達障害の一種であり、一般的には「知的障害がない自閉症」とされている。精神医学において頻用されるアメリカ精神医学会の診断基準 (DSM-IV-TR) ではアスペルガー障害と呼ぶ。

対人関係の障害や、他者の気持ちの推測力、すなわち心の理論の障害が特徴とされる。特定の分野への強いこだわりや、運動機能の軽度な障害も見られる。しかし、カナータイプ(低機能)自閉症に見られるような言語障害、知的障害は比較的少ない

共感覚 - Wikipedia
共感覚とは、ある刺激に対して通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚をも生じさせる一部の人にみられる特殊な知覚現象をいう。 例えば、共感覚を持つ人には7という文字に青い色を感じたり、音階のミの音に緑色を感じたり、ハンバーグの形が苦い味に感じたりする。


彼の、この特殊な能力や個性的な面は生まれたときから始まっていて、周囲の人たちがとまどってしまい、幼年時代、少年時代の話はつらい感じの話が多い。
しかも、この方の家庭は極貧で9人兄弟の長男だったりもする。
9人も子供がいたら、ただでさえ、ご両親は大変だったと思います。そして、このお父さんは仕事はどうしたんだろうと思ったり。

そんな感じで前半はやや辛い話が多いですし、そしてこの後主人公はどうなってしまうのだろうか?と、心配したりもしますが、後半は自分の能力を生かして、立派に自立していきます。

自分自身で自立するだけではなく、国際的なボランティア活動もしたり、同じ病気で苦しんでる方のためにチャリティーイベントをやったりと、大活躍です。

青年の話ですから、ラブストーリーも随所にあったりとほほえましい。

しかし、この驚異的な能力を持つ青年には、さらに変わった能力と言うか性癖があるのでした。

その変わった性癖に関しては、Amazonや出版社のサイトにも言及がないのでここでは控えますが、日本だったら反応がだいぶ違うだろうなぁ。

この方の気持ちがわかれば、私にも特異な能力が秘められているのでは!と思い読みましたが、彼は数字をこんな風に感じるらしい

23,667,1179は堂々とした数字
613,581はこじまりとした数字
37の五乗の69343957は小さな円がたくさん集まって大きな円になり、それが上から時計回りに落ちてくる感じだ。
10,000までのあらゆる数字が形となって見える

うーん、残念ながら良くわからず。

良くわかりませんが、この方が見出した法則を利用する事はできるかと、サヴァン症候群の方々はカレンダーの中に法則を見出す事が得意な方が多いようですが


・13日はどの月でも、その2日後の曜日が、その月の1日の曜日だ。
(どの月でも、1日と15日は曜日が同じ)

・1月と10月、9月と12月、2月と3月は曜日の並びが同じ(うるう年を除く)

2月と3月が同じ曜日の並びになる事は、知っていましたが、それ以外は数十年カレンダーを毎日のように見ていましたが、気がつきませんでした。

彼は、今は、自分の得意な言語の指導をネットを通じてやってるとの事です。対人関係が少し苦手であることを考えると、かなりいい選択なのでは、と思います。

色々大変な事がある中で、弱点をうまくカバーし、自分の能力を生かし、社会に貢献し自立する彼に非常に感銘を覚えました。
弱点を無理やり克服するのも一手法ですが、そこに固執しないで、長所をうまく生かしてるところがいいですね。

ちなみに、円周率22,500桁を暗唱すると5時間かかるそうです。

補足
以前NHK教育テレビでこの方のドキュメンタリーが放送されたとの事
地球ドラマチック|『ブレインマン』


2005年11月9日放送(2006年2月11日再放送)
ダニエル・タメットは、どんな計算でも頭の中だけで答えを出すことができます。
ダニエルのもとを訪れた番組スタッフは、彼の数字に対する驚くべき能力を目にすることになりました。
実際に計算しなくても、頭の中に答えが浮かんでくるというのです。数字を色や形や質感をともなったイメージとして認識しているダニエル。
番組では、彼が本当に計算の答えをイメージで読み取っているのかどうか、科学者に確かめてもらうことにしました。
ダニエルの特殊な能力が明らかになるとともに、人間の脳が持つ新たな可能性を探ります。


2007年8月に再放送が予定されてるとのことですので、興味のある方はどうぞ。

ぼくには数字が風景に見える
ぼくには数字が風景に見える
著者ダニエル・タメットは1979年、ロンドン生まれ。2004年、円周
率の暗唱でヨーロッパ記録を樹立、彼が主人公のテレビ・ドキュメンタリー「ブ
レインマン」は世界40ヵ国以上で放送され、大きな話題になりました。

抜粋
数字はぼくの友だちで、いつでもそばにある。ひとつひとつの数字は
かけがえのないもので、それぞれに独自の「個性」がある。11は人なつこく、
5は騒々しい、4は内気で物静かだ。...

NHK教育テレビ「地球ドラマチック選」で2007年8月に著者のドキュメンタリー「ブレインマン」がTV放送予定とのことです。

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