パソコンは日本語をどう変えたか  ブルーバックス

先日の
呪いの解き方―なぜかツイてない日の作法:[俺100]
という本は、本のタイトルと中身とのアンバランスな感じがあったけど、
本書も、「パソコンは日本語をどう変えたか」というタイトルは中身を適切に表しているとは言い難い。

どちらかというと逆に「日本語はパソコンをどう変えたか」という方が適切だろう。
または、サブタイトルの「日本語処理の技術史」とか。

でも、タイトルと中身は違ったけど読んでみたら、プロジェクトXが大好きな私には楽しめる内容だった。

初期には大量のデータ処理能力を見込まれて官公庁に大量にコンピュータが導入されたものの、そこで問題になったのが「漢字」。
役所からの手紙にカタカナで自分の名前を書かれて激高する人続出。
そこで、コンピューターで漢字の処理が急務となるわけですが…

PC98全盛時代から、ワープロの普及、PC/AT互換機の台頭、Windowsの普及、ケータイ文字入力の日本語表現、マックのきれいなフォントなど、時系列に沿ってその時々の技術者の証言を元に丁寧に解説されています。

面白かったといえば、失礼ですが、1986年当たりでは「葛飾区」の「葛」の字が「人カツ」と「ヒカツ」で混在していたという話。
むしろ、正しい「人カツ」の方が外字扱いのため、「ヒカツ」の方が優勢だったとか。
個人が間違えるならともかく、新聞社によっても表記がばらばらだったというのは驚きです。

今でも個別には色々こういう問題はあるとは思いますが、「渡辺」の「辺」などは異体字が100以上もあるそうですので、気の遠くなる話ですね。

技術史やプロジェクトX好きな方におすすめ。

パソコンは日本語をどう変えたか (ブルーバックス 1610)
パソコンは日本語をどう変えたか (ブルーバックス 1610)
YOMIURI PC 編集部 (編集)

内容紹介「現在の日本語」を作ったのはコンピューター技術者たちだった!

日本語処理技術の進歩と、言葉への影響を追う
「かな漢字変換」に代表される、日本語処理システム。パソコン、ワープロ、携帯電話などの日本語処理システムは、どう開発され、言語そのものにどんな影響を及ぼしたのか。開発に携わった技術者たちの証言を拾い集め、日本語処理システムの発展を描いていく。後世に伝える貴重な技術史の集大成。『YOMIURI PC』創刊10周年記念の大型連載が、大幅加筆で新書化。

目次第1章 「漢字」がコンピューターに登場した日
第2章 国産機種で広まった日本語処理
第3章 ワープロ専用機と「かな漢字変換」の進化
第4章 DOS/Vが夢見た「世界標準」
第5章 「工業規格」が使用漢字を決めた
第6章 「ケータイ文字入力」が日本語表現を変えた
第7章 フォント制作技術の最前線
第8章 大規模文字セット――深遠なる漢字の世界
第9章 漢字新時代――JIS2004の静かなる船出
第10章 パソコンは「日本語力」を低下させたか?


さて、昨日こんな面白そうな番組がクローズアップ現代で放送されたので録画してました。

クローズアップ現代 放送記録

コピペ
~「ネットの知」とどう向き合うか~

インターネットで見つけた文章をコピー&ペーストして、自分の文章にしてしまう"コピペ"。ある大学では提出されたレポートの半数近くがコピペで作成されていたという事実が明らかになった。夏休みには小中学生向けに開設された「コピペで書ける読書感想文」のサイトがアクセス数を伸ばし、大人の世界でも、役所が募集したパブリックコメントに大量のコピペの「組織票」が提出されるなど、コピペは今、社会全体に広がりつつある。「コピペは人間の考える力を弱める」と批判の声が上がる一方、「新たな知の技法」として肯定的に捉えるべきだとの意見もある中、私たちはネット上に広がる膨大な情報とどう向き合っていくべきか考える。
(NO.2623)

夜10時頃録画していたものを見ようとしたら、突然首相が辞任という事でびっくり。
結局、首相関連のニュースを見ていて、肝心のコピペ番組は見ないままに…
今日こそ見るぞ!

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