「若者×働く」をテーマに、多くの著書を持ち、多くの講演を行っている常見陽平先生の新刊です。
前半は、ノマドワーカーとして活躍している人や統計調査から、ノマドワーカーの現状を解説。
後半は、ご自身の経験も踏まえ、フリーランス・ノマドワーカーとして生きていく稼ぎ方を伝授しています。
前半部分の「ノマドという自由な働き方が注目される理由」と「自由な働き方を知る」では、戦前の高等遊民の時代から現代までの「自由な働き方」を模索している人々を分析。今も昔も、「組織に縛られず自由に生きたい」という事は変わりませんね。
そして昨今のノマドブームを「デジタル機器の発展とデフレによる物価下落よるもの」としています。前述のように、昔から自由な生き方を模索している人は多くいたと思いますが、現代の方が確かに敷居は低いかもしれませんね。
先日、アーティストの奈良美智さんとお話しした折に「以前は情報が少なかったから、ミュージシャンや画家になるには、相当な気合いが必要だった。情報や機材の入手が簡単な現代では、さほどの熱意がない人でもすぐにそれなりな顔をする」ということを言われてました。
色々なイベントに行っても、機材だけならプロカメラマンとアマチュアと見分けがつかないことも多いですから、スタイルを真似るだけならどの業界でも簡単な時代なのかも知れません。
後半の「自由な働き方のヒント基本篇・実践篇」の部分では実際にフリーランスで稼いでいる著者の経験も踏まえた、人脈の作り方、仕事の取り方、セルフブランディングの仕方など。
過度にノマドワーク・フリーランスを礼賛するわけではもちろんなく、かといって、「会社にしがみつけ」という本でもなく、30代後半のフリーで生きている先輩が、優しく「もう少し考えろよ」と言ってくれるよな本。
あまり他の人が指摘しないような、本音もチクチクと出てきて、例えば
Facebookで「いいね!」を押してくれた人、twitterで自分のツイートをリツイートしてくれた人は、意外にも助けてくれない
目立っているオピニオンリーダー層のノマドは所詮、有名大学卒、大企業出身だということを指摘しました。言ってみれば前提が違うのです。この前提の違いに気がつくべきです。
など。
ブロガーでも人気ある人は、結構昼は大企業に勤めていたり、有名大学出身というケースが多いですね。
それでも少しはチャンスはあるかもしれないと希望を持って生きていきたいものです。
自由な働き方をつくる 「食えるノマド」の仕事術
常見陽平(著)日本実業出版社
自由も安定も欲しいあなたのための「地に足のついたノマド論」「時間・場所・組織にしばられず、遊牧民のように移動しながら仕事をする」ノマドワークは、
「自由な働き方」の1つとして近年注目を集めています。しかし、その実態は甘くはありません。
本質的には「フリーランス」に近いノマドは、自由と不自由の間を揺れ動く存在です。
仕事がなくなるリスクを負い、孤独に耐え、知恵をしぼって働かないと、食べていけないのです。本書では、リクルートや人材コンサルティング会社で長年「働き方」を研究してきた著者が、
「食えるノマド」になるためには欠かせない、実践的な仕事術を紹介します!