ツキの法則―「賭け方」と「勝敗」の科学

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「ツイてる!ツイてる!」って言っても、ついてる事は起こらないという内容の本。

著者は犯罪学、ギャンブル社会学、社会調査論が専門の大学の教授。
学生時代にはコントラクトブリッジで歴代日本最年少で学生リーグ委員長。


世の中にはびこるギャンブル必勝法をメッタ斬にしてます。


彼らの必勝法が確実なものならば、自分一人で賭けて儲ければよろしい。宣伝などする必要はない。「私はむろん自分でも賭けて儲けている。しかし皆にもこの必勝法で勝ってほしいのだ」と、反論する人がいるかもしれない。もしそうならば無料で教えればよかろう。お金を取って必勝法を教えるなんて、そもそも自己矛盾的で、しかもうさんくさい。

と序章で言ってます。

しかし、これに関する反論は容易に思いつきますね。

以下、私の考えた反論。
「有料にしてるのは、必勝法が広まるのを抑えるため。必勝法は、みんなが知ってしまうとシステムが崩壊してしまいギャンブルが成り立たなくなる。価格が高いのは、本気で必勝法を知りたい人にのみこの情報を伝えたいから。また、その必勝法を編み出すまでにこちらもだいぶ時間とお金を投資している。その分はもちろん回収したが、コンピューターのシステム利用料(NASAで使ってるのと同じ機種)と世界的な大学教授へ顧問料を支払わなければならない。その分の実費をいただくシステムになっている」

こんなところかな?


さらに著者はギャンブル必勝法と新興宗教、占いに類似点があると説く
・科学的と名乗るがちっとも科学的でない。
・その科学を補強するのに○○教授、○○博士が登場する
・過去の必勝法、教義はすべてその教えのための前座
・そして、私は全てを超えた理論を編み出した
・いかなる今までの理論とも矛盾しない。


●客観的なツキの正体
ツキを一言で表現すると「ツキは統計上のゆらぎ」としてます。
統計上のゆらぎなので、存在しない方がおかしい
その過去の揺らぎを振り返って名づけた呼び名

としています。

結構分かりやすいですね。


例えば、
・親子4代で同じ誕生日というのは地球上に20組以上存在していてもおかしくない
・7回連続赤が出るのは1/64で珍しくない

参考文献できわどい科学―ウソとマコトの境域を探るという本が載ってますが、その本には
「ある友人の死を知らされるわずか数分前に、まったく偶然にその人物を思い出す確率」
の計算方法が載ってるそうです。

一億人の人口がいれば、毎日10人以上はそういう体験をしてるそうです。

で、科学一辺倒のわりに硬めの本なのですが、最後に著者の得意なブリッジの体験談で
「カードが透けて見える体験をした」
とあって、ギリギリの集中力と長年の経験によってそういう体験をする事はあるそうです。


私も、バーチャファイターという3D格闘ゲームを一時期のめり込んでやっていた時期があったのですが、まさに「相手の動きが止まって見えた」「相手の次の動きが分かる」という体験をした事があります。

この場合、長時間のゲームプレイによる目の慣れ、対戦相手のクセの学習などがそういう体験をもたらしたと思います。
当時は「おぉ!俺もバーチャロイドだ!」と喜んだものです。


ツキの話に戻せば通用するものと、しないものとあるでしょうね。
機械には通用しないけど、人間相手で人間味のある相手だと通用しそう
×パチンコ、競馬、宝くじ
○マージャン、ブラックジャック、ポーカー

本書ではあ、「ギャンブル必負法」も載ってます。
必ず負ける方法を知ることにより、楽しくギャンブルを長く楽しめるとしています。
必勝法を最初に否定しておいて、次に自説の「ギャンブル必敗法」を説く、この論旨展開はウマい!


この本の中では「大数の法則」が何回も出てきます。
大数の法則とは「ここの事象の予測は無理(困難)であっても、充分に多くの試行がなされるなら、全体像はかなり正確に予想しうる」
なんですが、

この「充分」と「かなり正確」がクセモノですね。
ここに付け入るスキがまだありそう。

「個々の人間の人生におけるチャンスの回数」は有限なので、ツキっぱなしという人と、ツキがないという人は存在してもおかしくない。

そもそも、チャンスの回数自体が均等ではない。

その辺のチャンスのつかみ方や運については、運のいい人、悪い人―運を鍛える四つの法則に詳しいです。

しかし、ギャンブル中もこのツキの法則―「賭け方」と「勝敗」の科学に書いてあるような事を冷静に判断できるような人はそもそもギャンブル自体やらないような気がするけどどうなんでしょう。

今日も楽しく読書できてツイてる!
9月11日なので、しみじみそう思います。


ツキの法則―「賭け方」と「勝敗」の科学

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