書店繁盛記

ポプラ社Webマガジン~ポプラビーチ~の連載をまとめた一冊。

面白くて一気に読んだ。

著者はジュンク堂の名物副店長の田口久美子さん。

本屋にまつわる毎日の奮闘記とベテラン書店員ならではの過去の回想録と未来への展望など。

ジュンク堂は個性的な書店である。
一般には日本最大級の書店という事で有名だと思う。
他にも、座り読みOK!(黙認?)多層階のビル店舗でも一階集中レジ。広さの割りに平台が少ない。背の高い書棚。などなど。他の書店には無い特徴がある。

私が最初にジュンク堂に行った時の第一印象は「図書館みたいだな」でした。
昔から「図書館にある本が買えればいいのにな」と、思っていた私には好きなタイプの書店です。

さて、そんなジュンク堂ですから、個性的なお客さんもたくさん来るわけで…
マナーが悪いお客さんというのは、近年どこの書店でもいると思うのですが、いや、本当に色々なお客さんがいるものですね。
トイレに引きこもる女性の話、トイレでお弁当を食べるお客さん、平台の本の上で座り読みするお客さん

開店と同時に日参するお客さんなどなど。個性的なお客さんの話がたくさん。
(書店とトイレってなんか関係あるんですかね。良く話題に出ますね。書店や図書館に行くとトイレに行きたくなるとかなんとか)


お客さんとの関係で言えば「客注」なるものも、書店にとっては大変な負担みたいですね。
私に限って言えばもはや書店で注文までして本を買うことはほとんど無いので「客注」なるものの存在を忘れてました。
あれは、買う側にとっても微妙だったなぁ。
「客注すると他の書店で見つかる法則」とかあるよなぁ。とか思い出したり。

さて、そんなドタバタ系とは逆に、現状の書店を取り巻く状況や未来に関しては一転してシリアスです。
タイトルの「書店繁盛記」というよりは「書店残酷記」という感じ。

オンライン書店の台頭やメガストアの乱立、出版社の事情、取次ぎの事情などなど。書店業界、出版業界の構造不況とあいまって、文中にはため息の出るような言葉や、悲観的な言葉が多い。

しかし、希望を持てるのは書店で働いている人、書店を志す若者の純粋さ。
キツい仕事、安い給料の中でも、本当に本が好きで、人に本を届ける事が大好きな人たちが働いていてその点では、やはりどんな仕事も最終的には人だよなぁ。と思います。


色々、書店の内側で働いている人しか知りえないような話が書いていて興味深いのですが、各ジャンル別の棚の作り方の担当者に対するインタビューは秀逸です。
担当者の方の思い入れがビシビシと伝わってきます。

特にも書店の花形とも言える文芸書の若い書店員さんの本に対する思い、勉強熱心さに感服。

他にも、新宿店オープンの舞台裏の生々しい話や意外なところでオンライン書店の話もたっぷり。

書店好きなら迷わず買いです。

書店繁盛記
書店繁盛記田口 久美子

書店風雲録
書店風雲録
田口 久美子


ブックショップはワンダーランド
ブックショップはワンダーランド永江 朗

comments powered by Disqus