ネガティブ書評が集まって、自費出版から商業出版され映画化された話

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新年早々、書評ブログ界隈で「クソ」とか「ネガティブ」とかいう言葉が飛び交っていますが…
404 Blog Not Found:blog書評のためのクソ本対策
【本】ネガティブ書評の5つのデメリット(私の場合):マインドマップ的読書感想文


私も「クソ本」とか「ネガティブ書評」について書こうかと思ったけど、「ネガティブ書評」が盛り上がって映画化された話を思い出したので、ちとその話について書きます。

 ある引きこもりの少年がいた。その引きこもりの少年があるとき小説家になりたいと言い出した。
 今まで、小説なんて読んだこともないし、ましてや書いたことも無いのに唐突に小説家になりたいという息子に両親困惑。
 しかし、少年は小説家になると言ってきかない。とりあえず、作品を見てみた父親は絶句。
読んだ作品は父親から見ても、どう考えても世の中に出せる作品ではない。
そこで、父はとりあえずやってみてダメならあきらめてくれるだろうと、自費出版で出版するための費用を出す。
そんな作品なので市場での評価はさんざん。
(ここまでは、なにかの雑誌で読んだ話なので記憶違いもあるかも)

もう罵詈雑言の嵐。
・設定が荒唐無稽
・日本語がおかしい
・読んで床にたたきつけたくなった小説は初めてです。
・紙の資源の無駄です。

本当に罵詈雑言の嵐。

しかし、その罵詈雑言が噂を噂を呼んで、「そこまでひどい小説があるのか。それなら一回読んでみるか」と読む人が続出。
そして、またそうやって読んだ人が罵詈雑言を浴びせて、噂が噂を呼ぶというネガティブなんだかポジティブなんだか良くわからないスパイラル。

そうやって、ついには幻冬舎から商業出版されるまでになってします。

そしたら、また簡単に入手できるようになったもんだから、悪評はさらに広まります。

しかし、悪評が広まると同時に、本が売れるというのもまた事実で、今度は文庫化されてしまいます。
そうやってる間にこんどはなんと映画化までされてしまいます。


まあ、信じられないようなシンデレラストーリーですね。
作者の意図とは少し違う形ですが、作品も著者も有名になってしまいました。

その著者は山田悠介さん。
山田悠介 - Wikipedia


デビュー作で話題となった作品はリアル鬼ごっこ

リアル鬼ごっこ - Wikipedia

『リアル鬼ごっこ』(リアルおにごっこ)は、山田悠介のデビュー作である、ホラー小説。

2001年に文芸社より自費出版本として刊行され、発行部数は100万部を超えた。また、2004年には幻冬舎文庫から文庫版(改訂版)が、幻冬舎コミックスからは漫画版が刊行された。2008年に映画版が公開予定。


100万部超えとは尋常じゃない売れ行きですね。

そしてその作品のあらすじは
(wikipediaより引用)

西暦3000年。王様が治めるこの国は人口が約1億人、そして「佐藤」という苗字を持つ人口は500万人を超えていた。

ある日、王様は自分の苗字が「佐藤」であることに対して「佐藤と名乗るのは自分だけでいい!」と怒り、「鬼ごっこのようにゲーム感覚で全国の佐藤を捕まえ、抹殺する」という恐るべき計画を提案する。
期間は12月18日から12月24日の1週間。期間中23時から24時までの1時間、全国に王国の兵士100万人を「鬼」として配備し、時間になったら、その鬼は「佐藤探知ゴーグル」なる特殊な機器を用いて付近の「佐藤」姓の人間を探索、発見し次第、追いかける。「佐藤」は、捕まったら最後、秘密の収容所に連れて行かれる。そして、捕まった暁には眠るように殺されてしまうのだ。

こんなお話です。

そして同様にwikipedia中の「評価」では

本作は、主として作品の内容以外の部分について、各ウェブサイト等で話題になった。
この作品は非常に突飛な設定を有しており、かつその整合性が取れていない部分が存在する。例えば西暦3000年の某王政国家が舞台とされているが、時代背景などがほぼ現代の日本と変わらない(東海道新幹線が、刊行当時の所要時間と殆ど変わらない状態で、そのまま存在する、等)。
また、下に挙げる様な文法的な誤りのある(主語と述語が対応しない、重複表現、等)箇所が多い点も指摘されており、「小説の体を成していない」「まるで小学校低学年の作文」等と酷評されている。なお、当時の著者は全くと言っていいほど読書をしていなかった、読書は嫌いだと文芸社の作家インタビューにて語っている。

と手厳しい。

そして作品中の味のある表現として

・重複表現
「もの凄く機嫌が悪く、不機嫌な顔をして」
「騒々しく騒いでいる」
「いかにも挙動不審な行動で」
「そう遠くなく、近いようだ」
「十四年間の間」
「うっすらと人影がかすかに現れた」
「最後の大きな大会では見事全国大会に優勝」
「罪として重罪が下される」
「記憶を全く覚えていなかった」
「しかし、洋の姿は何処にも見当たらなかった。何処を探しても、洋の姿は見当たらない」
・語彙の誤り
「九人の足跡がピタリと止まった」
「永遠と続く赤いじゅうたん」
「営々と逃げ続けた」
「翼達に標準を合わせている」
「愛は一つも振り向かず」
「愛を探すしかほかないのだ」
「二人は鬼たちに目をとらわれていた」
「一人の鬼が瞳の奥に飛び込んだ」
「この話は人々の間とともに長く受け継がれていく」
・句の接続の誤り
「二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた」
「佐藤さんを捕まえるべく鬼の数である」
「遠く離れると横浜の巨大な遊園地ができた」
「いざ、着地してみるとそこは森の様な草むらに二人は降り立っていた」
・不条理な動作
「ランニング状態で足を止めた」
「もう一度首を右に左に素早く後ろへと回し、ぐるりと体を反転させた」

かなりクセのある文体のようですね。

そして当然Amazonのレビューでも酷評の嵐。
610あるレビューのうち星一つが431で、星二つが53。星一つと二つで約80%
たまに星5つもあって「おぉ!」と思うも

駄目駄目言ってる奴は頭がおかしいだろ?
作者の熱い気持ちがストレートに伝わってきて面白いじゃん
だれが何と言おうと俺は傑作だと思う
ねこだいすき

というように、文頭をつなげて読む、いわゆる縦読みのレビュー。
Amazonのレビューももはや罵詈雑言を浴びせるのに疲れたのか、縦読みの表現を競う場になりつつあります。

ここまで、評判が凄い小説というのは、やはり一度読んでみたくなりますね。
ただ、先入観の無い時期に読みたかったなぁと思ったり。
(残念ながらまだ、未読です。)


と、散々な評価ですが、今では売れっ子作家のようで、単行本も何冊も出してますし、他の作品ではすでに映画化されてる作品も何本かあるみたいですね。

新年なのでネガティブ評価から映画化という素敵な夢のあるお話でした。

リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)
リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)

リアル鬼ごっこ
リアル鬼ごっこ文芸社版

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