誤解を恐れずに言えば、「味なんて、まずい!と言われない程度でいいんだろうな」という気持ちになりますね。
本書は、「小さな商圏の小さなお店」の飲食店のコンサルタントである井澤岳志氏。
飲食店を開業される方というと、自分のこだわりの味を、お客さんに食べて欲しいという料理人の方をイメージしてしまいますが、繁盛店になるには、「味」は、要素の一因ではありますが、必ずしも重要な要素ではないみたいですね。
我が身を振り返ってみても、おいしい店、お気に入りの味の店に行きたいとは思うものの、使っている金額や機会を考えてみると、案外味以外の要素で店を決めている場合も多いですね。通りすがりとか、近所だとか、開いていたとか。
味じゃなきゃ、接客だろう。笑顔だろう。とか思うわけですが、それも案外この本では大きく扱われているわけではない。
目次を見ていただくと、こんな感じ。
第1章 本当の「いい立地」を見極める 超低リスクの出店戦略
第2章 適正な大きさを見つけ出す 超低リスクの店舗規模戦略
第3章 将来のコストを最小化する 超低リスクの店舗設計戦略
第4章 オーダーを思いのままにあやつる 超低リスクのメニュー戦略
第5章 資金繰りを安定させる 超低リスクの財務戦略
第6章 お客様を固定客に育てる 超低リスクの販売促進戦略
第7章 慢性的な人不足を解消する 超低リスクの採用育成戦略
これを見ていただくとわかるとおり、第3章までの部分は、店舗の開店前にすでに決まっています。なので、繁盛店になるかどうかは、すでに開店前に半分決まっているような感じですね。
味がとか接客がとか言う以前に、すでに繁盛店になるかどうかが決まってるとしたら、悲しいことですが努力することもむなしい努力。
同じような事は、他の業界でもあることでしょうし、たとえばブログなんかでも実は一つ目の記事を書く前から人気ブログになるかどうかは決まってるのかもしれません。怖いですねー。
あと、この本と直接関係あるような無いような話ですが、おかげさまでビジネス書の著者の方やビジネスの最前線で活躍されてる方とランチやディナーなどご一緒させていただく機会もあるのですが、皆さん、お店の経営状態に関する試算が速いし鋭い。
「この立地の家賃で、このメニューなら~」「このメニューの中での稼ぎ頭は~」などなど、目の付け所がシャープかつ速い方が多いですね。
僕が「いかに、割り勘負けしないように酒を飲むか」「場の雰囲気を崩さないが最大限にきわどい下ネタはなにか?」など考えている間に、次々に鋭い意見が飛び出してきます。
そのような経験は、書籍などでは得られない貴重な機会なわけですが、僕もこの本を読んで「スタッフの動線はもう少し~」「居抜きで入ったとしたなら~」と、ちょっと言ってみようかなと思ったり。
飲食店に限らず、「自分の得意なこと」や、「人より上手にできること」を仕事にした場合に、必ずしもそれが事業の成長につながるわけではないということを再確認させてくれる本でした。
得意なことを生かしつつ、そうでない部分はこの本の著者の井澤さんのような客観的に見てくれるコンサルタントの方の意見を聞きながらやるのが良さそうですね。
福田元首相のように自分を客観的に見ることができる人なら、いいんでしょうが。
7つの超低リスク戦略で成功する 飲食店「開業・経営」法 (単行本(ソフトカバー))井澤 岳志 (著)
「超繁盛店をマネても儲からない!」
超繁盛店の成功の背景には、
圧倒的な「商品力」や「サービス力」などがあり、
それらを「普通の」お店がマネても同様に成功するのは難しいのです。
そこで、本書では、飲食店「開業・経営」戦略にまつわる、
出店・店舗規模・店舗設計・メニュー・財務・販売促進・採用育成といった、
7つのリスクを最小化するノウハウを伝授。
「居抜き物件で注意する3つのポイント」
「将来のコストを削減する店舗設計のポイント」
「利益を上げる『戦略的メニューブック』のつくり方」
「お金の流れを見える化する『日次資金繰り表』」
「見込み客を固定客に変える『ピラミッド育成法』」
など、成功率アップの秘訣を大公開。
著者は飲食店経営コンサルタントとして、これらの手法を駆使し、
富山県という「小さな商圏の小さなお店」で成功率93.2%という実績を残してきました。
まさに厳しい条件下で成功するための秘訣がここにあります。
飲食店開業希望者はもちろん、すでに経営している経営者の方、
読んでいただきたい1冊です。
●好きなことを仕事にした場合に陥りやすい罠について
はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術 (単行本)マイケル・E. ガーバー (著), Michael E. Gerber (原著), 原田 喜浩 (翻訳)
自分の好きなこと、得意なことを仕事にした場合に陥りやすい罠について書いてあります。自分が得意なことだからといって、その事業を成長させることとが必ずしも一致しないことを教えてくれます。